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一杯の水

 

モロッコ
2001.01.06 「一杯の水」
マラケシュ(Marrakech)は、モロッコにおいてフェズについで歴史のある街。標高約 450mにあるこの街は、大西洋岸やサハラ砂漠から、あらゆるモノ、人が集う場所だ。

11世紀にムラービト朝が建国され、ムワッヒド朝時代には首都として栄えた。一時 フェズが首都になったが、15世紀半ばサアード朝時代にまた首都となり、このときガオ王国トンブクトゥ(現在のマリ)から塩、金を運びだすための中継地として重要な街となる。

ここには北アフリカ最大といわれるメディナ(旧市街)がある。その中心地がジャマ・エル・フナ広場。へび使いや火を吹く男などの大道芸人や音楽家などが集まり、夜遅くまで賑わいが絶えない。

そこに赤い衣装に肩から幾重にも連なった金属製コップをぶら下げて歩く老人がい る。ゲラブと呼ばれる水売りだ。腰に下げたベルを鳴らしながら「水はいりませんか?」と広場を歩く。 15世紀サハラ奥地のトンブクトゥから塩、金を運び出す場合、必ずアトラス山脈を越えてこなければならない。ラクダとともに乾いた砂漠を歩き、高い山脈を越えてたど り着いて、まず欲しかったものは、お金より乾きを癒すこの一杯の水だったのだろ う。

今ではオレンジのジューススタンドやカフェが建ち並び、この水売りの意味はなく、 いわばメディナを象徴する観光資源のひとつとして存在している。

そこである水売りに話を聞いてみた。何故ゲラブを今もしているのかと。

「水をコップにつぐと仕事になるからだよ。その昔、本当に水を売っていたのだろうけれど、今はジュースを飲みながら山脈をクルマでドライブする時代なのだから。」

現在欧米をはじめ日本でも水を買う習慣は定着している。山から湧き出るミネラルウォーターを買う行為のはしりがここにある。

昨今、水質汚濁が深刻となり、地下水をいかに手に入れられるかが、重要なことになりつつある。しかしまず大事なことは、「川をきれいにすることが、海の魚を助けることになる」といわれるように、今使っている水は、地球上にあるすべての水とつながっているということだ。

その昔、サハラ砂漠奥地へ塩や金、そして栄光を得るために旅立つキャラバンの力水、そしてこのメディナにたどり着いた勝利の一杯として価値のあったゲラブの水。 一杯の水の意味を振り返ってみたいものだ。
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