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2001@サハラ

 

その他
2001.02.07 「 奇跡の2日間(1)」


プリウス、ランドクルーザーともに燃料を満タンにし、ヌアディブの街を出た。ヌアディブは完全に陸の孤島で、アスファルトや石畳で作られた道で結ばれている街は、ひとつとしてない。この街へは、飛行機か船で来るのが常識なのだ。だから街を出るということは、同時にオンロードから外れることを意味する。2台のクルマは、街のはずれの小さな段差からゆっくりと前人未踏の航海に出た。

まず進路を東にとり、線路づたいに走る。この線路はモーリタニアの主産業である鉄鋼石を運ぶためのものだ。内陸のズエラット鉱山で露天掘りされ、ヌアディブに運ばれる。最盛期には年間1200万トンも産出され、すべて列車で運ぶため、何百両もの貨車が連結された。そして世界一長い貨物列車としても有名になった。現在では鉄鉱石の需要不足から、産出量も約2/3に減ったが、今でも長い貨物列車は健在だ。

「このあたりは駅も近いから、貨物列車も静かだけど、砂漠の真ん中でこの列車に出会ったときは度肝を抜かれたね。爆音とともに、鉄鉱石を満載した何百両もの貨物列車が、砂漠の中を物凄いスピードで走ってた。地鳴りがして凄かったね。」と横田隊長がなつかしそうに話した。

オフロードだが線路沿いで比較的走りやすい道を90キロぐらい走ったところで、今度は進路を南南東にとる。そして小高い丘に差しかかったところで、3台のクルマが目に入った。クルマの外にいた人達が、こちらに向かって大きく手招きをしていたので近づいてみると、

「私たちガイドいません。あなたガイドいます。後ろついていっていいですか。」とたどたどしい日本語で話す女性がいた。彼女はポーランドからきた女性で、旅をしながら仲良くなった仲間とともに、セネガルの首都ダカールを目指していた。とても美しい女性で、日本で働いていた経験があり、それで日本語が話せた。

「よし、ついてこい。」と横田隊長がいい、彼らは慌ててクルマに戻り、プリウスの後をついてきた。

プリウスの車内では、横田隊長とガイドの信頼感が少しずつ芽生えてきた。ガイドの指示に確実にこたえる横田隊長。ガイドの話すフランス語は、決して完全なものではない。だからガイドは、両手を使って方向指示やスピード調整の指示を出す。横田隊長はガイドが話すフランス語の言葉より、ガイドのジェスチャーや言いたいことを心で感じながらプリウスを走らせていた。そうやって埋まりそうな深い砂地を越えるたびに、ガイドがうれしそうに手を叩く。しかし路面はますます柔らかくなっていき、ついにプリウスも、はじめてサハラの洗礼を受けた。タイヤが砂に埋まったのだ。しかし誰も慌てない。三角、寺田隊員がすぐさま砂を掘り、「これくらい掘れば、あとは押せば出ますよ。」と三角隊員がいう。三角、寺田隊員は日本にいるときに、河原でこのような状況のテストをしていたので、プリウスをスタックから脱出させることには自信があった。そしてわけなくプリウスは走り出した。

「でもここまで一度もスタックしないなんて奇跡ですよね。」と茅原田隊員がいう。確かにそうなのである。事実、我々の後ろをついてきていた3台のクルマは、すでにスタックの連続で、プリウスについてくることさえできない。そのなかにはローバーの4輪駆動車がいたにもかかわらず。

2輪駆動車で砂地を走る場合には、特別なドライビングテクニックが必要となる。そのなかで一番重要なことは、できるだけハンドルを切らずに車速を40km/h以上に保つことだ。こうすることでクルマが路面から浮くような感じになり、スタックしにくくなる。しかし路面は荒れ、ところどころにキャメルブッシュと呼ばれる背の低い草が生えた場所では逃げ場がなく、何度もプリウスは宙を飛んだ。そのたびにサスペンションに負担がかかった。

ヌアディブを出発してから7時間、とにかく走り続けた。途中さらに9台も同じルートを行くクルマを抜いた。この日最後尾でヌアディブを出発した我々は、この日早朝から出発していたすべてのクルマを追い越したのである。快進撃であった。

この500キロ以上に及ぶ道なき航海は、1泊2日の行程。本日は全行程の約2/5の地点でキャンプを張った。フランスパンをかじる程度で走りつづけていたため、スタッフは全員空腹だった。とにかくお腹いっぱいになりたい。そこで茅原田隊員が、お米をといでご飯を炊き始めた。

「今日はカレーライスにしましょう。」と茅原田隊員がいう。レトルトカレーの袋をランドクルーザーのエンジンの上にのせて温め、ご飯が炊けるやいなや、皿にご飯とカレーをよそり、一気に掻き込む。至福の時である。そして我々がキャンプを張ったところへ、さっき抜いてきたクルマと、遊牧されている数百頭のラクダの大群がやってきた。人口20人、クルマ11台、ラクダ数百頭の一夜限りのサハラシティが出来上がった。その夜、キャンプファイヤーに集まった旅人たちとともに、横田隊長還暦祝いの3次会が開かれた。

あと1日頑張れば、冷たいビールやコーラが飲める。そんなことを思いながら、今夜はラクダとともにサハラで眠る。
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