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砂漠でのインターネット通信はどうやっていたの?

 

その他
2001.01.25 「砂漠でのインターネット通信はどうやっていたの?」
さてみなさまに楽しんでいただいていますこのホームページ。現地からの画像やレポートが当然のようにアップされていましたが、ハテ?と思ったかたから質問がありましたので担当寺田より報告させていただきます。

質問:どうやって写真や文章を送信していたのですか?毎日ホテルからですか?

回答:まず最初にお話ししたいことは、teamACPは、「自然は土や風に触れて感じるもの。環境を知るには地面からの視線から見なければ、気づけない。だからアウトドアこそ究極の環境体感」と隊長の言葉どおりですので、今回のエコミションでもキャンプ生活は当然。西側アフリカは砂漠を見てわかるとおり、非常に乾燥した地域。だから湿度が低く、キャンプには最高のアウトドアフィールドなのです。たぶんみなさまも一度体験したらきっと病みつきになることでしょう。

さて本題のどうやってインターネット通信をしていたかの質問ですが、サハラ砂漠には、電話線など存在しません。そこで出てくるのが衛星を使った通信モバイルです。前回に引き続き、今回もKDDIのサポートを受け、インマルサット衛星通信端末を使ってデータ通信をしていました。

なかなか日常的なものと比較しにくいですが、たとえば日本でモバイルといえば、auやTU-KA、J-phoneの携帯電話をノートパソコンにつないでデータ通信をしますね。

しかし日本国内でさえ、深い山間部や海上など、エリア外が存在します。そこで衛星通信の必要性が生まれます。インマルサット衛星通信は、以前あったイリジウムや今後出てくるICOなど、衛星通信事業のなかではもっとも実績ある衛星通信システムで、私の知るかぎり、太平洋上1つ、インド洋上1つ、大西洋上に2つ、計4つの衛星(IOR、POR、AOR-E、AOR-W)で、極点を除くほとんどの海上、大陸をカバーしています。私も5年前からサハラ砂漠で、インマルサット衛星通信端末を使っていました。当時は通信速度が2400bps、サイズは卓上コピー機ぐらいありました。専用スーツケ−スがあり、このケースに入れると重量が約18kgもありました。そしてパソコンはおろかFAXさえ、接続できないという非常に不便なものでしたが、それでも砂漠から電話ができると喜んでいたものです。

そして今回持ち込んだインマルサット通信端末は、64kbpsという通信速度(いわゆるISDN級)スピードで、パソコン、FAX、電話などなんでも接続できるスグレモノなのです。おまけにパソコンにビデオカメラを接続したり、テレビ電話を接続すれば、現地からの動画をライブ中継できるすごさなのです。

本体やシステムの説明はこのくらいにして、実際どのように使うのか説明しましょう。

まず本体は、3つ折りのアンテナとモデムユニットに分かれ、それをケーブルでつなぎます。そしてアンテナを広げます。一方モデムユニットとPanasonicノートパソコンは、TDKのISDNカード(DN1280R)を使って接続します。これでハードの接続は完了です。そしてモデムユニットの電源を入れ、パスワードを入れたらインマルサット衛星を探します。今回の端末は、インド洋上衛星(IOR)、大西洋上衛星(AOR-W)が使用可能とのことなので、このどちらかの衛星をアンテナでつかまえます。今回わたしたちのいた地点からすると、IORであればほぼ東の方角で、仰角(アンテナの角度)はほぼ0度、AOR-Wであれば南西240〜250度、仰角約40度くらいで衛星をつかまえることができます。カーナビなどに使われているGPS衛星はたくさんあるため、機械が自動的に適したGPS衛星を見つけますが、インマルサット衛星は、オペレーターが衛星の位置を把握していなければ使えません。しかし方位、角度さえ合えばあとは自動的に通話可能となります。

そしてPanasonicのノートパソコンから、ダイヤルアップネートワークで電話をかけます。これは通常の国際電話の要領で、日本でしたら00−81の後に市外局番の頭の0を取った数字(東京03であれば3)を使い、あとは電話番号を使って送信すれば、KDDIの山口基地局につながり、そこからは国内通常回線にてプロバイダーに接続されます。

こうやってサハラ砂漠から、現地の画像とレポートが日本に送信され、あとは日本でこのホームページを管理している新宮氏(私の大学時代のゼミ仲間)にアップをしてもらいました。

またモロッコやセネガルなどでホテルに泊まったときは、ホテルの電話を使ったのかとなりますが、ここに問題があります。プロバイダーによっては、ipassやGRICといったワールドローミングシステムが使えます。今回もフランス、スペインではそれを使って送信したのですが、西側アフリカ諸国では、通信速度が遅く、いくらモデムの設定速度を遅くしても、画像が送信できませんでした。ですから、アフリカ大陸から送った画像、レポートはすべて今回の64Kスピードのインマルサット衛星端末を使いました。

砂漠では、ランクルのボンネットやルーフにアンテナを置き、非常に快適。きっと映画「ミッション・インポッシブル」のトムクルーズさえ、これを知っていたらさらに仕事が増えたことでしょう。しかしホテルとなると、衛星があるのが部屋の壁側であったり、近くに障害物があったりと、アンテナ設営場所を考えることもありました。あるときはホテルの屋上、あるときは庭、そして茅原田隊員に持ってもらって部屋の窓の外に出してもらったこともあります。

21世紀は「IT世紀」なんて呼ばれ、情報量・スピードが速くなり、地球が小さく感じると言われますが、やはりアフリカや南米、中国奥地、高山などの情報をとるためには、やはりこのインマルサット端末が必需品となります。そんな最先端機器を駆使するエコミッションは、ハイテクとローテクがうまく共存したプロジェクトだと思います。

これでおわかりいただけたでしょうか?
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